序章 -裏の世界のお話-

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近くまできてようやくそのシルエットが明確になった。 角の生えた異形な生物、人の倍以上ある大きな体、その拳が強く握られ 稲荷に向けて振り下ろされる。 出来れば夢であって欲しい 稲荷は人生を諦めると同時に、そう思った……… 「見ぃ~つっけたァァッ!」 ドゴンッ! と、凄まじい音と共に、巨大な塊は空中に吹き飛んだ。 吹き飛んだ? と稲荷は疑問に思う、何故ならあれだけの巨体を吹き飛ばすには、どれだけの力が必要か いや、その前に道具がなければ絶対に無理なはず だが そこには巨体を吹き飛ばすだけの道具はない 力に自信がありそうな大人が何十人もいる訳でもない そこにいたのは………
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