迷子

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特に人間?自分も人間だというのに…。過去に人間に何かされたか?いや、ならば何故俺を牽制しない?確かに初めに会った時に「わん」と言われ牽制されたがあれは冗談だろう。うーん…。わからん。明日までの関係だ。気にすることではない。そして、奴の言葉を否定しておかないとな。 「ちゃんと自分の身の丈は分かってるよ。なんの力のない俺が何かしようとしても無謀なだけだしな。まぁ、旅をして色々知り飽きたら本でも作って旅で知った事を人に伝えるよ。」 ぐでーっとテーブルの上にしながら言った。すると奴は安心したのか真面目な表情から柔らかい表現になった。 人間が嫌いなのに俺には優しい。俺の考えすぎかもな。 「と、今日慣れない場所を歩いたから疲れて眠たい。どこで寝れば良い?」 と聞くと「おお。そうだった」と左の壁の角に行って暗闇に消えた。角は暗くてわからなかったが奥があったらしい。部屋とは言わないぞ部屋とは! 否定してる俺をよそに奴がちぐはぐなベッド?らしきものを奴のベッドの少し離れた場所に置いた。 「お前はこれな。綿があまり採れてない時期に作ったから少し硬いと思うが我慢しろ。」 と言いながら洞窟から出ていこうとした。俺は夜は危険と教えられたから慌てて呼び止める。 「おい!夜は危ないんじゃないのか!?猛獣がいるんだろ!?」 と焦ってる俺をよそに奴は出口に行く。 「俺がどのくらいここにいると思ってる。ここらの猛獣はもう手なずけたから俺は平気なんだよ。俺は水浴びしてくるからもう寝とけ。」 とのしのしと出ていった。その瞬間「うぉおお!?てめっ!」とか「やめろ!!そこはァァァ!!イヤァァア!!」とか聞こえたのは多分猛獣達の叫びだろう。そんな声をBGMにベッドに寝ころび深い睡眠をとる。 これからの俺はどうなるんだろうな?まぁ、先の見える未来ほどつまんないものはないな。行き当たりばったりでいいか。寝よ…。
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