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もやもやを通った俺は見知らぬ森にいた。林ではない森だ。
木が乱雑に聳(そび)えておりどれも逞しく太い。そしてアスファルトなどどこにも見えない。道もない。後ろをみても公園もない…。
「え……?」
どこだここ?確かに公園にいただろ俺?そして林の蜃気楼的なやつに体ごと入った…ら、見知らぬ場所に来ちまったってか?神隠し?あれか…。踏み込んじゃ行けないってか?
「ちょっ…ちょっと待てや。おちつけ…落ち着け俺!まだ焦る時間じゃない!」
と意味不明な言葉を気合いを入れて言ってみたはいいが、どうしようこれ?確かに刺激は欲しかったがこんなの望んでない…
と思ってるときに父親が昔俺に言った言葉を思い出した。
『人は欲に忠実な動物だ。だが理性という抗うことも出来る動物だ。わからないよな?』
と、母親と喧嘩したあとぼこぼこにされ泣きついてきた父親が言っていた言葉を思い出した。
「なんで今泣きながら言ってきた言葉を思い出したんだ俺…」
と呆れと後悔を含んだ言葉が出た。
「とりあえず!まずは帰ろう!入った方向と逆に歩けば帰れる!」
前向きになろうと後ろに向かって歩き出した。
そのままひたすら歩く。希望を持ってひたすら歩いた結果、体は熊顔が鶏みたいな生物に出会った…出あってしまった…。
「は?」
俺は考えることを放棄しそうになって「こんな生物も世の中にはいるよな」と言おうとしてしまった。
いないから!地球にこんな生物、図鑑にも載ってないから!鶏?熊?は?おかしいだろこれは!?
パニックに陥っていると鶏の頭が此方に気付き口を開いた。
「わん」
……もう…なんでもありだよね?こんな生物もいるんだよ。うん…。
俺はとりあえず返事をしてみることにした。
「わん」
奴の表情が笑いを堪えるような表情に変わり、そのままうずくまる。
うずくまってプルプル震えるそいつを見ながら俺は羞恥心でいっぱいで顔が真っ赤だ。
その時声が聞こえた
「こ…こいつ……わん……だって…!クククッ…」
喋ったとか笑ってるとか気付かず俺は羞恥心でいっぱいで反論する
「お前が最初にわんって言っただろうがぁ!」
「いや…ククッ…そ、それにわんって…わんって返すって…プッ…クハハハハ!!」
そのあと10分ぐらい笑われて俺はいじけた。
10分後笑い終わったやつはこう言った
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