迷子

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奴は『家』と言ったはずだ。だが、俺の目の前にあるのは洞窟または洞穴だ。玄関?常時開放。陽当たり?もちろん木々で遮られ木漏れ日だけど。風通し?一部だけこれほどに無いぐらい抜群。 「これが家に見えるか!!」 つい叫んでしまった。すると横から奴が呆れた表情で 「お前…住めば都って言葉知らないのか?それにな?ここをそのまま使うわけ無いだろ。俺は知能を持ってる。改良しないわけ無いだろ。まぁ、奥に来い。気に入ると思うぞ?」 と言って1人で暗い洞窟に入っていった。それに俺は疑いながら着いていく。 少し歩いたとこで奥に木漏れ日のような光を発見する。そしてそこは少し広く、最低限の生活用品が見えた。 「お、おい。これがお前の言う家か?」 怪訝そうな顔をして俺が言うと奴は自信満々という感じで「そうだ!」と言い張りやがった。 これは…家と呼べるのか?確かに水もある(岩の壁からチョロチョロと)テーブルと椅子とベッドもあるけども…。洞窟の奥の少し開けた場所に置いただけじゃん! 「どうだ俺の家は。立派だろう?」 お前の考え方が立派だよ(単純、馬鹿的な意味で) 「というか、なんで洞窟内なのに光がはいってんだよ?」 と俺が言ったら、待ってました!と言わんばかりにすぐ説明しだした。 「それがな?ここは鉱石が豊富らしくて、この洞窟から外に小さな穴が出来てるんだよ。そこに光を反射増幅させる鉱石が配置されてるんだわ!しかも水気を吸収する鉱石もあるらしく雨が降っても漏れない、湿気も適度な感じになるって訳よ!」 凄いな。光を反射は分かるが増幅は聞いたことがない。それに水気を吸収する鉱石などあり得ない。俺は改めて異世界に来たんだと再確認された。 「光と湿気が目立たないことは分かった。だが、家具を配置しただけの洞窟を家と呼んで良いのか?」 すると奴は不機嫌そうな表情になり 「ならお前は外で寝ろよ?ここらは昼こそ猛獣はいないが夜になれば…パーティーだ。数歩歩けば気配と音で遊びにやってくるぞ?何度襲われたか…ボソッ」 最後の方は聞こえなかった、聞かないようにしたが俺は顔が青ざめる。今まで猛獣と言えば檻に入った安全を確保された上で見たものだった。だが、今回は檻に入ってないそれも狩りのエキスパートだと奴は言う。絶対に死ぬ。そう結論が出て必死こいて謝り泣きすがった。
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