迷子

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その結果、椅子に座りふんぞり返る奴、地べたに正座で頭下げる俺の構図が出来上がった。想像してみてくれ。椅子に座りふんぞり返る頭は鶏体は熊のどや顔。そして短い足を組んでる姿。腹立たしいが笑える。プルプル震える俺を奴は悔しがっているのだと思っているのだろうが、笑いを堪えるので精一杯でプルプルふるえてるんだよ。そんな俺を奴は見下しながら 「まぁ、分かったようだし謝罪もあるから許してやろう。だが!泊まるからには条件がある!今日の夕飯をお前が作れ。美味いやつをな!まずかったらほっぽりだしてやる。」 と俺にはこの上ない好条件を出してきたからすぐ頷く。笑いを堪えるので声を出せないから。頷いたのが分かった奴は洞窟の角にあるちっさな穴に入っていき食材を出してきた。確かに洞窟内で温度が低いとは言え外の温度で食材は傷んでいるのでは?と思い奴に言ってみると 「あぁ。普通は腐るな。だが、さっきも言ったように鉱石がここは豊富だ。そして、そこの小さな穴のなかにはたくさんの周りから温度を奪う鉱石がある。だから長期保存可能な訳だ。」 と誇らしげにいう奴の言葉に俺は感心した。本当に未知の世界。好奇心がくすぶるが本格的に旅をするまで落ち着かせようと考え調理を開始する。 火は奴が魔法で出してくれるらしいから心配要らない。魔法に驚かないかって?鉱石がもう魔法みたいだから今更だ。 というわけで、野菜?山菜?炒めと何かの肉のしょうが焼きと米は無いらしいがそれに似た麦色の粒のやつを米に見立てて炊いてみたら、米より旨味が強くモチモチ感があったのでご飯代わりにした。あと野菜?山菜スープも作った。全てかなり多目に。奴の体が3m以上あったので。ちなみにあのキノコは甘くてデザート的な意味があるらしかった。 目の前のご馳走を今か今かと待てないと言った感じで奴が目を輝かせているのを感じた俺は苦笑いになり「頂きます」と手を合わせたあと奴に合図するとすぐつつき出した。俺は手づかみで食べるが奴は顔を皿に近づけ食っている。汚い?ほとんどがそう思うだろうが昔とかもとの世界の一部では当たり前だ。ただ人に知恵があり、変な考えが出来たから物を使って食べるようになっただけだ。
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