第6章 Preparedness to die

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あたしは部屋を出てふらふらと井戸へ向かい 水を汲んで顔を洗った。 うーん冷たい!! 「…頭爆発してんぞ」 「うわっ!!」 いきなり沖田の声が聞こえてきてあたしは驚いた。 振り向くとすぐ後ろに立っていて…。 コイツ気配なっ!! 忍者か!? 沖田の顔や腕には包帯やガーゼ、湿布が痛々しく貼ってある。 「ケガ大丈夫なの…?」 「平気だ。お前みたいにメソメソしねぇよ。…それよりお前の頭こそ大丈夫か」 「ただの寝癖よ!!」 あたしは乱暴に自分の髪を頭に撫でつけた。 沖田はあたしをしっしと手で払うと井戸の水を少し飲んで、急にこんな事を言い出した。 「…お前…覚悟はあんのか」 「? なんの?」 沖田は井戸水に映る揺らめく自分を見つめたまま尋ねた。 「…俺たちは人を斬って生きてる。それが悪人でも端からみりゃ俺たちはただの鬼だ…」 「…」 「でもそれなりに信念もって生きてるつもりだ。俺の信念は近藤さんを護ること…」 沖田はそっと手で口を拭う。 「そのためだったら俺はなんでもする。自分の命捧げても護りきる」 …。 つまり沖田は…死ぬ覚悟ができているってこと…? 「…お前もちゃんと覚悟は決めた方がいい。ここで生きていくんならな」 …そんなこと言われても…死ぬ覚悟なんて…。 絶対イヤ!! だって死にたくないもん! 絶対生きてやる。 あたしは死ぬ覚悟なんて決めない。 どんなに辛くても どんなに痛くても 諦めずに最後まで戦い抜く…。 明確じゃないけど…こうゆう覚悟でもいいよね? あたしがふと沖田を見ると、沖田はどんどん稽古場のほうへ遠ざかっていっていた。
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