第6章 Preparedness to die

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†沖田side† 俺はまだ痛む体をかばいながら局長室へ行き襖を開けた。 「…遅ぇぞ総司」 部屋には近藤さんと、いつになく真面目な顔の土方さんが座っていた。 「すいません」 …里紅と雑談が過ぎたな…。 俺は静かに襖を閉めて2人の前に座る。 「…まず今回はお疲れ様。特に総司…よくやってくれたね」 「いえ…」 近藤さんの柔らかい口調と表情に俺は一安心する。 無事でよかった…。 近藤さんは俺にとって 生きる理由の一つでもあるのだから…。 「…それであの辻斬り集団なんだけど やはり裏があった。あれはただの辻斬りじゃない…攘夷浪士が集団で辻斬りの真似事をしていたんだ」 やっぱりか。 おかしいと思ったんだ。 ただの辻斬りがどうしてこんなに強いのかって…。 あいつらは明らかに殺気が違った。 つまり攘夷浪士が辻斬りのふりをして俺たち新撰組を拡散し、局長の周りを空にするのが狙いだったわけだ。 となると…。 「その裏であの数の攘夷浪士を操れるのは……高杉晋作の他はいないだろう」 高杉晋作。 過激派攘夷浪士の1人で巧みまれなる頭脳を持つ策士にして、騎兵隊を率いる腕も持ち合わせる危険な男……。 最近はおとなしくしていたが、奴が動き始めたのか…? 「攘夷浪士との全面戦争が近いのかもしれないね…」 近藤さんは淡々と呟いた。 高杉…。 近藤さんの命を狙う輩…。 絶対に許さねぇ。 俺が必ず討伐してやる。 近藤さんには指一本触れさせねぇ。 俺はそう心に誓った。
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