第7章 さよなら…?

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その時正面から笠を深く被った男が歩いてきているのが視界に入った。 少し不気味な雰囲気の男は真っ直ぐあたしに向かってくる。 ごめんあたしそれどころじゃないの!! 引ったくり犯を捕まえないと…!! そしてその人とすれ違いざま…。 「…わっ!?」 ポスッと音を立ててあたしの手のひらに落ちたもの。 …これ盗られた小袋!! え!? なんで!? 何が起きたの!? そしてすれ違った男に目をやると…あたしは気づいた。 この人……!! 「ちょっと! 待って…!」 あたしはその人に近づき腕を掴んだ。 そして男の人と目が合う。 長い切れ目で紫がかった妖艶な瞳…。 やっぱり!!! 「あなた…!」 「よく分かったね、里紅」 男の人は優しく微笑んだ。 …あたしがまだこの時代にきたばかりのころ、悪い武士に襲われたところを助けてくれた人…。 「あのこれ…!」 あたしは手の中にある小袋を見せた。 と、盗られたはずなんですけど…。 「引ったくりから盗んだものを引ったくる…。これは悪いことかな?」 甘く囁くような口調と真っ直ぐあたしだけを見つめる瞳にあたしはドキドキした。 「い、いえ…! 全然!!」 「クス…ありがとう。ところでこれから暇?」 「え?」 これは思わぬ展開に…!!
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