第7章 さよなら…?

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あたしたちが言い合っていると後ろから高杉さんは割って入った。 「…黙っててごめんね」 「……」 嘘…。 「沖田君の言ってることは事実だよ」 「嘘…」 「この前の辻斬りに見せかけた事件も 手引きしたの俺だし」 嘘…!!! 「嘘って言って…」 「ごめん…里紅」 助けてくれたのに…。 いい人だって思ってたのに…。 「分かっただろ!! その男からすぐに離れろ!!」 「……」 沖田にはそう言われたけどあたしはすぐに高杉さんが攘夷浪士だなんて信じられなかった。 あたしは後ろにいる高杉さんの顔を見た。 高杉さんは…すごく落ち着いた表情だった。 「…沖田君 悪いんだけど今日は見逃してくれない?」 「逃がさねぇよ。おとなしく捕まれ」 「相変わらず厳しいね…。そんなこと言うと…」 「きゃ…!?」 突然高杉さんはあたしの首に腕を回し、もう片方の手に握った小刀をあたしに突きつけた。 「オイ!!!」 沖田の怒鳴る声が耳に響く。 あたしの視界の端には鋭く光る刀身が…。 「…いくら冷徹な沖田君でも この子の血は見たくないんじゃない?」 「ッ…」 沖田は悔しそうに顔をしかめてゆっくりと刀を下ろした。
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