第8章 Bitter kiss and a sweet hug...

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「…どうして急に…」 その場にいる誰もが腑に落ちない気持ちだった。 ―… 「…」 俺はモヤモヤとした気持ちを忘れるように夢中で竹刀を振る。 そして汗を拭きながら息をついた。 「…総司」 「…なんですか」 先程から稽古場の入り口にもたれて考え込んでいた土方さんが言葉を発した。 「…本当に探さなくていいのか」 「探す宛なんてないでしょう」 …少し前の会議で里紅を捜索するかという話が出た。 しかし俺はそれに反対した。 アイツのことだ…。 身寄りもなければ ここで生きる術だってろくに知らない。 だからすぐに戻ってくるだろうと…。 「放っておけばいいんですよ」 …正直アイツに対して怒りはある。 どうしてそこまで高杉をかばう必要があるんだよ…くそったれ。 そりゃ心配も多少あるが…。 「…帰ってきたら素振り100に加えて説教してやります」 「総司さぁ……ほんと変わったよね」 「…何がですか?」 俺はこの時初めて土方さんの顔を見た。
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