第8章 Bitter kiss and a sweet hug...

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あたしはお客の男の人の隣に座り徳利に酒を注いだ。 …ここまではいつもうまくいくの。 問題はお客がいい感じに酔っぱらってきた時…。 ―… 「なぁ里紅ちゃんもそう思うだろぉ~?」 「いっ…!!」 酒が回って上機嫌な男は隣に座るあたしを抱き寄せお尻を撫でた。 「変態っ!!」 ―バチャ!! 「な、何すんだお前!!」 「あ…」 あたしはお客に向かって熱い酒をぶっかけてしまった。 しまった…!! またやってしまった!! 「す、すいません…」 「ごめんなさい、この子まだ仕事になれてなくて…。里紅ちゃんもうここはいいから控え室に戻ってて」 「…ごめんなさい…」 あたしは頭を下げて控え室に戻った。 「はぁー…」 あたし絶対向いてない…。 こんな迷惑かけてちゃダメだよね…。 「里紅ちゃん大丈夫?」 「あ…はい。すいませんでした…」 先輩があたしを心配して顔をみに来てくれた。 「最初は慣れないわよね。徐々にでいいから焦る必要はないわ。それにまだ若いし」 「…ありがとうございます」 あたしに足りないのは我慢だ…! どんなスケベ親父に触られてもニコニコしていられる精神を身につけないと…!
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