第8章 Bitter kiss and a sweet hug...

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「ぅ…」 沖田の前で泣きたくない…。 あたしは俯いて涙を見せないようにした。 …お願いだから帰ってよ…。 「……」 「…!」 すると沖田は無言のまま… そっとあたしを抱きしめた…。 「…悪かった…」 「っ…」 小さくそう呟いた沖田…。 でもあたしは沖田の腕の中で暴れた。 「ふざけないで…っ!! もう嫌なの!!!」 「…里紅…」 「離れてッ!!」 ―ドス!! 「うッ…!!」 「…ぁ…」 沖田から逃れようと暴れていたら沖田のお腹に肘討ちが決まってしまった。 沖田の小さい悲鳴であたしは動きを停止。 「…俺が悪かった…」 「……」 少し苦しそうに呟きながら沖田は抱きしめる力を強めてあたしを包む。 「…あの時はカッとなって…心にもねぇこと言っちまって…。…これでも俺は一応、お前を認めてるつもり…だ……」 沖田の声はどんどん小さくなっていく。 「…お前が毎日三時間欠かさず稽古してたのも、何度も同じ資料眺めて頭悩ませてたことも…ちゃんと知ってる…」 「!」
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