第8章 Bitter kiss and a sweet hug...

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―… 「…」 「ようやく止まったか…どこからそんなに水が出てくんだよ」 「…水じゃなくて涙だもん」 「はいはい」 沖田は呆れたように頷くとあたしの涙を親指でそっと拭いてくれた。 見上げてみると沖田はあたしをジッと見つめていた…。 「…何…」 「似合わねぇ厚化粧だな」 「なっ…!! 一生懸命お化粧したのに!」 「老けて見えるぞ」 「大人っぽく見えるって言って!」 ひど…。 化粧って時間かかるんだからね! あたしがむすっとするなか沖田は続ける。 「それにお前臭い」 「…はぁあ!?」 「…鼻がおかしくなる…。お前香り袋でも持ってんのか?」 「持ってない…。あ、香水ならたくさん付けたかも」 もうそれはシャワーのごとく浴びたよ! 「…絶対それだ。臭い…」 「だから臭いって言うなっ!!」 「痛っ…叩くな阿呆」 もう…!! しかしそんな他愛のない話をしているうちにあたしの涙は引っ込んでいた。 そして沖田は一瞬あたしをチラリと見ると 自分の着ていた新撰組の羽織ものをあたしに被せた。
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