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そしてあたしたちは夜とは思えないくらい明るい町中を二人で歩いて帰るのだが…。
「……」
…沖田歩くの早くない!?
さっきからあたし小走りなんだけど…。
もうちょっと歩調を合わせてくれたっていいのに!
いい加減あたしは疲れてきて沖田の着物の袂を掴んだ。
「…!」
「…」
沖田は少し驚いた顔をして振り返りあたしを見つめる。
あたしはそれに無言で見つめ返した。
…もっとゆっくり歩け!
と心の中で思いながら。
「…腕がつっかえて気持ち悪い」
「あっ…」
そう言うと沖田は…
何故かあたしの手を握った。
ちょっと…待って!
し、心臓が今バクバクと脈打ち始めたんだけど…。
えと…これは一体どんな状況…?
あたしが一人あたふたと混乱する中 沖田は構わず手を繋いだまま歩みを進める。
なっ…なんだこの心臓がくすぐったい感じはっ……!!
あたしは繋がれた手だけではなく、沖田の後ろ姿さえまともに見ることができなかった。
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