702人が本棚に入れています
本棚に追加
女の子は目から大粒の涙を溢している。
「大丈夫…?」
「ぁあぁあああん!」
あたしはそっと女の子の頭を撫でる。
「痛かったね…。でも女の子は人前でそんなに涙見せちゃダメだよ? ここぞって時にだけ使わなきゃ」
「…ここぞ…?」
「そう。例えば男落とす時とか」
―バチン!!
「痛っ!」
突然後頭部に痛みが…。
「ガキに変なこと教えんな!」
む…。沖田に怒られた。
「…平気かガキんちょ」
「…」
女の子は少し怪訝そうに沖田を見ている。
怯えてるんじゃない?
「…これやる」
「わぁ! ありがとう!」
沖田は懐から包みに入った小さな大福をとりだした。
大福ーっ!!
女の子は嬉しそうに受けとると、さっきの涙はどこへやら沖田に手をふって去っていった。
「よくそんなの持ってたね。あたしにもちょうだい」
「嫌だ。…甘いものは嫌いじゃねぇんだよ」
沖田は包みを懐に戻すとあたしに構うことなく歩き出した。
…見かけによらず可愛い…。
最初のコメントを投稿しよう!