第9章 恋の蕾は開花時期

8/29
前へ
/503ページ
次へ
―… 歩くこと数分。 商店街から少し離れたところにやってきました。 目の前には長屋…のような大きな家。 沖田は躊躇することなくズカズカと中へ入っていった。 「よう親父。久々だな」 「おう総司か。よく来たな」 沖田が親父と呼んだ人。 60代くらいの叔父さんだ。 …沖田のお父さん!? 「お? 今日は一人じゃねぇのか」 「あぁ…」 親父さんはあたしに気づいたようだ。 え…どうしよ!? 「まさか総司…これかぁ?」 「はあ!?」 すると親父さんがニヤニヤしながら小指を立てた。 あたしが…沖田の女ァァ!? や……あ、あり得ないから!! 天変地異よ天変地異!! 「違ぇよ! ただの部下だ…!」 「へぇ…ただのねぇ…」 「っ…変な顔して見んじゃねぇよ…!!」 …なんかノリのいい叔父さんだね。 「里紅! 鍛冶屋の親父だ」 「鍛冶屋…?」 あたしは一度建物から出て表についている看板をみる。 …これ鍛冶屋って読むのかぁ…。 ってことは刀鍛えたり造るところ? ってことは沖田のお父さんじゃないね! 早とちった。
/503ページ

最初のコメントを投稿しよう!

702人が本棚に入れています
本棚に追加