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「…おい里紅」
「……」
「テメェ…せっかく大福ひとつ分けてやろうとs…」
「食べるっ!!!」
「…」
沖田は呆れた顔であたしを見たが大福をひとつ手渡してくれた。
うん。これでさっきのはチャラにしてやろう!
すると部屋に鉄を叩きつける甲高い音が響き始める。
柳澤さんが沖田の刀を直し始めたらしい。
「……ずっと聞きたかったことがある」
「ん…?」
美味しく大福を頬張っていると突然沖田がきりだした。
沖田があたしに質問?
珍しいじゃん。
「何?」
「…お前…本当にどうして時代を越えたのか分からねぇのか」
「あぁ……」
そういえばあたしタイムスリップしたんだった。
いやぁ毎日生きていくのに必死ですっかり設定忘れてたわ~。
なんて冗談はほどほどにして…。
「分からないよ」
「お前の頭で真剣に考えてもか?」
「うん。江戸に来たのには何か訳や理由があるんだってずっと考えてたけど…もしかしたら何もないのかもしれない」
世界を救うとか
あたしは江戸の救世主とか
そんなの全然関係なくて、ただ……。
「神様の暇潰しとかね」
「……神ってのは理不尽なもんだな」
「だって神様だもん!」
あたしはいししっと他人事のように笑った。
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