第9章 恋の蕾は開花時期

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俺は里紅のいれた茶をすすった。 「……薄」 ただの湯かこれは。 アイツ満足にお使いもできなければ 茶もいれられないとは…。 「おい総司」 「なんだ?」 「お前、自分の気持ちには気づいてんのか」 「は…?」 なんだ…急に…。 「俺はこれでもお前のことはガキの頃から知ってるが…そんな顔を見たのは初めてじゃよ」 「……」 「お前は頑固だからなぁ。時には自分の敗けを認めるのも大切なことさ。……惚れちまったってな」 俺は親父に返す言葉がなかった。 …全部見透かされてんだよな…。 「手の届かないところに行っちまう前に ちゃんと伝えなきゃ後悔するぞ。以上クソ爺のお節介」 「…ほんと余計なお世話だ」 …気持ち…ね…。 んなのちゃんと分かってる。 …里紅が好きだ…ってことは…。 ただようやく掴んだこの関係を… 口喧嘩ばっかだが上司と部下の関係を 失いたくない。 それを恐れて前に進めない自分がもどかしい。
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