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俺は里紅のいれた茶をすすった。
「……薄」
ただの湯かこれは。
アイツ満足にお使いもできなければ 茶もいれられないとは…。
「おい総司」
「なんだ?」
「お前、自分の気持ちには気づいてんのか」
「は…?」
なんだ…急に…。
「俺はこれでもお前のことはガキの頃から知ってるが…そんな顔を見たのは初めてじゃよ」
「……」
「お前は頑固だからなぁ。時には自分の敗けを認めるのも大切なことさ。……惚れちまったってな」
俺は親父に返す言葉がなかった。
…全部見透かされてんだよな…。
「手の届かないところに行っちまう前に ちゃんと伝えなきゃ後悔するぞ。以上クソ爺のお節介」
「…ほんと余計なお世話だ」
…気持ち…ね…。
んなのちゃんと分かってる。
…里紅が好きだ…ってことは…。
ただようやく掴んだこの関係を…
口喧嘩ばっかだが上司と部下の関係を
失いたくない。
それを恐れて前に進めない自分がもどかしい。
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