第9章 恋の蕾は開花時期

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†里紅side† 「ほれできたぞ」 「助かったよ。さすが早いな…」 「俺を誰だと思っとる」 「この道50年の職人だろ」 沖田が柳澤さんから受け取った刀を見てみると、細かい傷は一切なく艶っ々だった。 すご…鏡みたい! 「…ところで親父、アレなんだが…」 「とっくの昔に出来上がっとるよ」 そう言って柳澤さんは奥の部屋に行ってしまった。 「沖田、何アレって?」 「いいから待ってろ」 待ってろって…あたしペットの犬扱い? そして柳澤さんはすぐに戻ってきた。 手に一本の刀を握りしめて。 「強度にも斬れ味にもこだわったんだ。きっといい相棒になるだろうよ」 「あぁ。ありがとう」 沖田はその刀を柳澤さんから受け取り… 「ほら。お前のだ」 「…?」 あたしに差し出したのだった。 え…? 「何してんだ。早く受けとれ」 「え…でも…これって真剣?」 「当たり前だろ。局長の許可も取ったし大丈夫だ」 いつの間に!? でもさっ…! 「じ、自信ない!」 「? 何の?」 「…うまく扱う…自信…」 あたしが小さい声で呟くと沖田は小さなため息をついた。
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