第9章 恋の蕾は開花時期

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―… 屯所に帰ってきて少し時間がたった。 あたしは一人自分の部屋でのんびりしていた。 だいぶ日も暮れてきたなぁ…。 そう思っていたとき… ―ダダダ!! 「おっ?」 「??」 一瞬ものすごい速さで部屋の前を通りすぎて行った土方さんがトットッと戻ってきて部屋を覗いた。 え…と…何か? 「悪い里紅! ちょっと匿って!」 「え?」 土方さんは詳しい説明もなしにあたしの部屋に隠れ始めた。 何!? するとすぐに… 「土方さーん!! あっ里紅ちゃん!」 「山崎さん!」 焦った様子の山崎さんが部屋の前を通りかかった。 「お帰りなさい。あのさ、土方さん知らない?」 「土方さん?……ぇと…さっきすごい速さで通りすぎて…」 「ほんと!? ありがとう!」 山崎さんは早口であたしに礼を言うと長い廊下を走り去っていった…。 山崎さん、ごめんなさい!! 「…ふぅ」 「何したんですか、土方さん」 「ん? まぁちょっとね」 ニコッと笑いながら土方さんはあたしの部屋の襖を閉めた。 部屋の中に紅い光が充満する。
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