第9章 恋の蕾は開花時期

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しばしの沈黙の後、土方さんは静かに、至って真剣に呟いた。 「…里紅が好きか?」 …と、ただそれだけ…。 もちろん俺は驚いたが、土方さんのいつもとは違う雰囲気に気持ちが引き締まった。 「……どうしてそんなこと」 「いや。最近妙に仲がいいからさ。正直に言ってくれ。…お前は里紅をどう思ってる?」 ……。 「…好きですよ」 「…」 俺は真っ直ぐに土方さんを見据えた。 それることのない視線に、時が止まってしまったような心地がした。 「…なら問題ないな」 ふっと小さく笑った土方さん…。 それはどういう…? 「お前が言うなら その気持ちに少しの迷いも偽りもないんだろう。…でも正直悔しいね…」 苦しそうに笑う土方さんを見て俺は気づく。 「土方さん……本気で…アイツを…」 「…安心しろよ。もう諦めた」 諦めた…?
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