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白髪の男の回りには取り巻きがたくさんいた。
…皆は!?
「…驚いた顔をしてますね。局長さんたちなら向こうで寝てますよ」
「は…!?」
寝てる…!?
まさか…!!
「今更逃げてももう遅いと…監察の山崎さんはともかく、頭のいいあなたならわかりますよね?」
「…何したの…あんた…」
「耳を貸すな里紅ちゃん!!」
皆が易々とやられるわけないじゃん…。
でも誰も来ないし、こいつらに目立った傷がない。
おかしいでしょ…!!!
「話は聞かせていただいていましたが…この爆弾が偽物だと気づいたのはすばらしいです。…ですが…少し甘かったですね」
取り巻きの攘夷浪士たちがあたしたちを取り囲む。
「あなたが嗅ぎ付けた匂いは火薬ではありません。睡眠薬を共に練り込ませた煙玉独特の匂いです」
…その煙玉で皆を眠らせた…。
確かに、それなら納得いくね。
「…一本取られたかな」
あたしは握りしめていた真剣を床にそっと置いた。
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