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―…
街の外れにある廃墟につれてこられたあたし。
白髪の男に促され中に入ると、そこには高杉さんがいた。
高杉さんは紫がかった妖艶な瞳であたしをとらえた。
「…久しぶり。元気してた?」
「…お陰さまで…」
「悪かったね。手荒な真似をしてしまって。…でも殺してはいないはずだよ」
「そうですね。…現段階では…ですけど」
あたしがそう言うと高杉さんの表情が固まった。
「…分かってたのか…。やはりさすが…としか言いようがないね」
高杉さんはふっと口元を緩める。
…あたしが嗅ぎ付けた匂いは 確かに最初に爆破した爆弾のものではなかった。
でも、白髪の男が言った 睡眠薬を混ぜた煙玉の匂いでもなかった。
…あたしが火薬と薬品の匂いを間違えるわけないでしょ!!!
奴らは確かに爆弾を持っていたんだ。
でも手には持っていなかった。
…屯所の中に隠したんだ。
きっとあたしが高杉さんの要求を断れば…
屯所を爆破する。
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