702人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしの笑顔を見た高杉さんは安堵したように肩を撫で下ろした。
「…あの時の返事は聞かないよ。聞かなくても、里紅の顔を見れば分かるからね」
「…ごめんなさい。幕府討伐もなかなか面白そうなんですけどね…」
「…とても役人とは思えないこと言うね(笑)」
あ、そうだ…。
「ずっと聞きたいことがあったんです」
「何? きっともう会うことはないし、何でも聞いてよ」
「あたしのこと…どこまで知ってるんですか?」
「全部」
……。
テキトーですね…。
「納得いかない顔だね。どこまでって言われても 答えにくいでしょ」
「じゃあ…あたしがこの時代の人間ではないってことは…?」
「知ってる。里紅が沖田君を投げ飛ばしたこともね」
「えっ…」
何故それを!?
「最初は信じられなかったけどね…時間を越えるなんてこと」
「…それはあたしだって…」
誰も信じてなかった。
現代でも証明できないことが 実際に起こったなんて…。
「でもだからこそ里紅は俺たちにはない新しい考えを持っているんだろ? ここでは決して通用しない…考え方をさ」
高杉さんは優しく微笑みかけた。
あたしには…理解できないことがありすぎて。
今だって…。
最初のコメントを投稿しよう!