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―…
あたしは一人のんびりといろんなことを考えながら屯所に向かって足を進めていた。
…高杉さんはもう会うことはないだろうと言った。
きっとそれは素直な言葉…。
それはそれで少し寂しいかな…。
あたしが建物を後にするとき、高杉さんは笑顔であたしを見送ってくれた。
あたしはそれに微笑み返して…助けてくれた恩は絶対忘れないと心の中で誓った。
…ちなみに白髪の野郎にはガン飛ばしてきたぜ。
ずいぶん酷いことやってくれたからね!!
「…ん?」
ポツンとあたしの頬に落ちた小さな滴。
あたしは天を仰ぎ見た。
げ…っ!
分厚くて重たい雲があたしを睨み付けている。
そして案の定…
―ザー!!☔
「最悪ーっ!!」
あたしは雨をもろに受けながら走った。
結構激しいし風も強い…!!
台風!?
走ることしばらく…
ようやく屯所が見えてきた。
しかし急いでいたあたしは屯所の少し手前でその足を止めた。
だって…屯所の前で、傘もささずに突っ立ってる人がいたから…。
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