第10章 My answer

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ずぶ濡れになりながらも揺らぐことなく男はただ立っていた。 「何してんの沖田!?」 「!」 あたしは滴る水を拭って沖田のところへ走りよった。 「ずぶ濡れじゃん!! 何!? 馬鹿な…の…?……」 あたしが言い終わる前にギュッとあたしを抱きしめた沖田。 濡れていて冷たい分 じわじわと沖田の体温を感じる…。 …顔見えない…。 「…沖田…?」 「…テメェは…」 雨の音で聞こえにくい沖田の声。 …怒ってる気がするのはあたしだけ? 沖田はあたしを離すといきなり頬を摘まんだ。 「いにゃ!?」 「馬鹿はテメェだ!! お前…高杉のとこには行かねぇっつったじゃねぇか!」 「……だから帰ってきたもん…」 あたしはつままれた頬を押さえながら控えめにボソッと呟く。 そんなに怒鳴らなくっても…。 自然とむくれるあたし。 ふぅと息をついた沖田は濡れたあたしの頭に手を置いた。 あたしが見上げると そこには少し険しい顔があって…。 「……もう行くな。どこにも」 そう言われた瞬間雨が突然やんでしまったかのように 周りの音が全て消え去った。
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