第2章 Real

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―チュンチュン… 遠くで小鳥のさえずりが聞こえる。 もう朝…? 「ん~…」 あたしはその場でゴロンと寝返りをうった。 「…ん?」 「…おはよ♪」 「きゃぁぁあ!!」 あたしは布団から飛び出た。 それはまぁ猫みたいに。 「きゃあって…可愛いなぁ♪」 そこにいたのはにこやかな土方さん…。 ちょ…なにこのラブコメみたいな展開!? 「…何してるんですか…」 「ん~? まぁ夜這い? あ、でももう朝だから朝這いか」 悪びれる様子は全くなく清々しいほど晴れやかな笑顔の土方さん。 この人危ないな…。 「…あっ…」 ちょっと待って…。 「どうかした?」 …目の前には土方さん。 和室に敷布団。 外にはあたしが2度も落ちた井戸…。 そう。 あたしはまだ夢から覚めていなかった。 「…どうして…?」 あたしの背中を冷や汗がゆっくり流れた。 この時初めて…あたしはこの現状を恐ろしいと感じた。 今まで悪い冗談だと思っていた…いや、そう言い聞かせてきたのに。
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