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山崎さんの恋愛話はもちろん気になったんだけど、あたしは視界の端に映った沖田に視線が移った。
「ゴホッ!ゴホッ!!」
「!」
沖田は苦しそうに咳をしながら稽古場を出ていったのだ。
「? 里紅どうかした?」
「あ…あたしちょっと水飲んでくるね!」
「うん」
あたしはこっそり沖田のあとを追いかけた。
…この時あたしの頭に浮かんだのはただひとつ。
…沖田総司は若くして病死した。病名は…肺結核…。
あたし病気とか詳しくないけど、結核って多分咳がでるやつだと思う…。
現代じゃ治るけど、昔は治らない病だったっていうし…。
沖田は井戸の所に手をついて咳き込んでいた。
「ハァ……」
「沖田!」
「!? なんだお前か…」
あたしは沖田に駆け寄り手を掴んだ。
沖田は心底驚いたようにあたしを見る。
「医者のとこ行こ!!」
「は…?」
「だから!! 病院だよ病院!」
あたしはじれったくてとにかく声をあげた。
悪いことは言わないから行こう!!
「咳出るんでしょ!? それ多分恐ろしい病気の症状に違いないよ!!」
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