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「…何か用か里紅」
「ふぃっ!?」
突然沖田の声が聞こえてあたしは肩をビクつかせた。
そろ~っと襖を開けてみると沖田は上半身だけ起こしていた。
…起きてた。
「…なんであたしって分かったの?」
「弱者の気配がした」
「弱者…!? か弱くて可憐な女の子の間違いじゃない?」
「いや。間抜けで腑抜けの気配だった」
「つけ加えないでよ!!」
もう…!!
風邪ひいて熱ある人間とは思えないくらい元気じゃん!!
でも…ぷんすかしながらも少しだけ安心してたり。
「…その様子じゃ熱なさそうだね」
「そうでもねぇよ…昼間より体が重いし頭痛もする」
「嘘!?」
悪化してるの!?
「大丈夫? 薬は?」
「のんだよ…不味い漢方薬」
「じゃあ寝なきゃ!!」
「…頭痛でなかなか寝つけねぇ」
え…どうしよう…。
あたしに何ができる…?
「…まぁ一晩ぐっすり眠れば良くなるだろ。俺は平気だから」
「…」
沖田はあたしが心配しているのを察したのかそんな言葉をかけた。
あぁ…あの日あたしもびしょ濡れになったのに なんで沖田が風邪引いちゃったんだろ。
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