702人が本棚に入れています
本棚に追加
…いや…ないな。
コイツ俺と他の隊士の扱い目につくほど違ぇから。
「…じゃあたし行くね」
「え…」
しばしの沈黙のあと里紅の口から発せられた言葉。
その瞬間ちくりと心臓が痛む。
「あたしがいると気が散るんでしょ? 言われなくても分かってるから!」
「ぁ…いや…」
「おやすみ…お大事にね!」
俺が反論する間もなく里紅はそれだけ言葉を残して部屋から出ていってしまった。
気が散るって言うのは……お前が近くにいると心臓が締め付けられたように苦しくなるからで…。
里紅と一緒にいたくないわけじゃない。
俺は気がつき始めていた。
自分に歯止めが効かなくなってきていることに…。
…どうしてあのとき俺は…『側にいてほしい』と言えなかったんだろう…。
最初のコメントを投稿しよう!