第12章 The flower of a night sky

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―というわけで… 鳴り響く楽しげな祭独特の太鼓の音色。 行き交う人々はみな楽しそうだ。 仮面をつけた小さい子供たちは林檎飴を片手に走り回り、若い男女はその仲をより深めるように寄り添う。 …あたしたちはただそれを眺めながら歩くだけ…。 ちぇ…あたしも遊びたかったのに…。 「浮かない顔だね」 ニコッと笑いかけたのは山崎さん。 だって…。 「せっかくの祭なのに騒げないなんて酷ですよ…。山崎さんだって彼女さんと花火見たかったでしょ?」 「あぁ…まぁね。でも仕事だし」 仕事だからって割りきれる山崎さんはやはり大人だ。 …あたしは耐えられない!! 「やだ土方さん! 私以外にも女の子誘ってたんですかー?」 「そんなわけないじゃん? 俺にとって…君だけは特別だよ」 「ひ…土方さんったら…」 土方さんの甘い囁きにポッと頬を染める女の人。 集団で見回るあたしたちの後ろで さっきからイチャイチャしている二人。 …いつのまに約束なんかしてたんだか…。 「局長ーっ!」 「? なんだい里紅?」 あたしは先頭を沖田と歩く近藤さんに向かって叫ぶ。 「あれ(土方さんたち)はいいんですかー!? かなりイラッとします!!」 「毎年のことだからねー」 特に気に止める様子もない近藤さん。 近藤さんテキトーだし土方さんに甘いよ!!
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