第6章 Preparedness to die

4/23
前へ
/503ページ
次へ
「…お前は厄介者だな。疫病神か」 「…」 いや、幸運を招く女神であると信じていますので…。 ↑口には出せない心の声。 「午前は屯所の掃除だ。いいな」 「…へーい」 あたしはかったるく返事をした。 ちょうどその時 隊士の1人が沖田に近づいてきて声をかけた。 「沖田さん、これ瓦版です」 「あぁ、ありがとう」 隊士は沖田に新聞のようなものを手渡して去っていった。 沖田はそれをその場で眺めている。 あたしはそれを覗き込んだ。 「なんだよ…掃除してこいよ」 「ちゃんとやるって! 瓦版って何かなって思って…」 見てみると紙に何やら汚い文字が…。 手書き!? てか汚すぎ…。 「…あのさ、なんて書いてあるの?」 「お前文字読めねぇの?」 「読めるし。バカにすんな! これ汚すぎて…」 あーなんか目がショボショボしてきた。 「ったく……簡単に言うと 最近人斬りが増えてるから夜間の一人歩きには気をつけろって」 「へー……人斬りってあれ? 辻斬り?」 「あぁ」 あたし知ってるよ!! 新しい刀の切れ味を確かめるために人を襲うってやつでしょ。 …ほんと腐ってると思うよ。 「こいつらは新撰組が逮捕しなくていいの?」 「辻斬り程度は町奉行に任せんのが普通だ。きりがねぇだろ」 町奉行…。 今時に言うと交番勤務的な? でも新撰組が相手にしてられないくらい 辻斬りは当たり前に行われてるってことだよね。 …江戸も案外 安全な世の中じゃないんだね。 「さて、じゃああたしは稽古でもして爽やかな汗をかいてこようかな!」 「掃除が先だ」 「ですよねぇ…」 …逃げられませんでした!!!
/503ページ

最初のコメントを投稿しよう!

701人が本棚に入れています
本棚に追加