第1章 …落ちた

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「どうした?」 長髪の男が不思議そうにあたしをくせ者呼ばわりした黒髪男に尋ねる。 「井戸で人が溺れていた。助けたがこいつは多分お庭番だ」 黒髪男は横目であたしを見ると低く冷めた声でそう言った。 …お庭番ってなんでしょうか? お庭の番人? 「ほぉ…ここに忍び込むなんていい度胸だな」 茶髪の男があたしににっこり笑いながらそう呟く。 話が全く見えません!! 「あの、あたし怪しい者じゃありませんよ? 泥棒でもないし…」 「だからお庭番なんだろ」 「すいません、お庭番って…何ですか?」 あたしがそう聞いた瞬間その場の空気が一瞬固まった。 え…何? あたし何か悪いこと言った? 「とぼけても無駄だ。俺たち天下の新撰組を侮辱するのか?」 黒髪の男がそう言うとあたしを取り囲む奴等がキッと睨んだ。 天下の新撰組…? 新撰組ってあれ? 世界史選択のあたしでも知ってる。 確か…江戸時代の警察みたいな人たち…。
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