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「はい、おみやげ」
「わっ、これストール?すごく細かい模様が織り込まれているんだね、綺麗!」
トルコは織物工芸が盛んで、日本ではそれなりの金額がする有名ストールもかなり安価……むしろこれで大丈夫なのか訊きたくなるほど破格で購入できたらしい。
それを恋人にぶっちゃけてしまう彼はどうなのかと思ったが、質・色ともに素晴らしいセレクトだったので何も言わなかった。
さすが私の好みを知り尽くしているだけある。
「すべすべだしあったかい!大事に使うね」
バニラアイスのように柔らかな色をしたストールを、すぐさま首に巻いてみせる。
にこにこしている私に、彼はニヤリと笑った。
「それだけだと思ってるあたり、お前も単純だな」
「へ?」
ことり、とテーブルに置かれたのは深紅の箱だった。
「…………え?」
「ははっ、開けてみろよ」
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