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「それは正真正銘【トルコ石】。中まで真っ青だから安心しろよ」
そして彼は「顔が赤いんじゃねーの?」とまた笑った。
はっきりと憶えている。大学の夏休み明け、9月のこと。
私に初めて宝石をプレゼントしてくれたのは、彼だった。
*
そして今年のクリスマス。
なんとか予定を互いにこぎつけ、美味しいイタリア料理の店で乾杯することができた。
「お互い社会人になってどうなることかと思ったけど、なんだかんだで毎年クリスマスは一緒に過ごせてるね」
「記念日も兼ねてるからな、1年前からスケジュール調整しとるわ」
私の分までシャンパンを飲みながら彼はニッと笑った。
お酒が好きで、そして酒豪の彼はいくら飲んでも酔っ払わない。一方の私はかなりの下戸。
私に合わせて選んでくれた甘いお酒を、なめるように味わう。
「お酒強いのいいなあ……」
「その言葉ももう5年目だ」
ジト目の私をやり過ごし、彼は肩をすくめた。
付き合って5年。このやりとりも毎年恒例だ。
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