◆例えば、それが…

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  「チャンスじゃねぇか? ガキの頃話した夢を掴み取る」 男は思い出した。 しがらみもなく、彼と遊んでいた幼い日々を。 いつだったか、彼と語り合った夢。 彼はその身の上から『世界が自分に頭(コウベ)を下げる強い男になりたい』と目を輝かせながら話していた。 彼の夢は叶っている。 裏社会と言う厳しい場所で、彼は齢18にして、誰もがなり得ない『裏闇の帝王』に就任した。 男の夢は…『世界に通用するピアニストになりたい』だった。 が…、男は未だカゴの鳥。 「俺達も大人なんだ…子供の頃の夢なんて…お前は叶える事が出来たんだから、それで良いだろ?」 「まだだ!」 彼は…男の人生を変える言葉を放つ。 「お前と俺のツートップで世界をとる夢が、まだ叶ってねぇ。 キュイラス…とるぞ、世界を」 子供の頃、自分の夢を語った彼が付け足した言葉。 『おれは、キュイラスと一緒に世界をとる! 絶対、ぜーったいなっ!』 強く、強く。 弓矢や弾丸、バズーカ…いいや、戦車の一撃すら痒いと思える、強い、強い言葉。 「お前…何馬鹿言って…お前は兎も角、こんな俺が世界をとれるわけな…」  
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