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―― 同日 夜
「まさかマリーが普通に物を作れるとはなァ…」
「だからマリーさん頑張ったって言ったでしょ」
「あのエイリアンのミイラがあんなに洗練されるとはなァ」
アレウスと楓はあの事件の後、アレウスが予め予約していたキュイラスのカフェレストランに来て食事をしていた。
「ま、まぁ。 でも、キュイラスさんのカフェで食事なんて…やっぱり素敵だね」
「ここは3ヶ月先まで予約一杯の人気店だからな。 顔パスで予約なし、だぜ」
「相変わらず自分の持てるモノは有意義に使ってるねぇ」
「失礼致します」
軽い雑談のあと、ウェイターがあのチョコレートケースを楓の前に丁寧においた。
「アレウス様がお作りなったチョコレートケーキでございます」
「え…」
そう言って去って行ったウェイターを見送った後、楓はアレウスに視線を向けた。
「なんだよ?」
「今、アレウス様がお作りになったって」
「まぁな、今日はバレンタインだぜ? ほら、食ってみ」
アレウスに促され、楓はおずおずとケーキにフォークを入れ、丁寧に一口分切り分けて口に運んで咀嚼する。
アレウスも食事の手を止め、頬杖をつきながらその様を眺めた。
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