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「可愛い嫁さんが作ってくれたチョコだぜ? 不味いワケがねぇだろう」
「私がエイリアンのミイラを差し出しても?」
楓がおどけたように笑いながらそう言うが、アレウスは真面目な様子で口を開く。
「チョコレートは恋の味って言うだろ。 エイリアンのミイラだろうがお前が俺の為に作ってくれたなら俺は食うよ」
「アレウス…」
不意に甘い雰囲気が流れ、2人しかいないのも手伝ってか、アレウスは身を乗り出し楓の頬に手を添えた。
「至高のバレンタインを有り難う、愛してる」
「ん…私も」
そう言って長身を生かし、アレウスは楓の唇に己の唇を重ね、愛しさを込め数度啄み、唇を離した。
「……懐かしい」
少しばかり頬を染める楓を目の前にアレウスは呟きを零すと、楓と視線が合わさる。
「お前との初めてのキスもチョコレート味だっただろ?」
思いが通じたあの日。
「……キュイラスさんのパーティーに呼ばれた時、だよね」
「あぁ」
2人の想いが通じ合った瞬間。
「「 愛してる 」」
あの時のようにチョコレートの味を堪能する度に2人は"初めて"のように愛し合う。
同時に発したお互いの言葉に笑いあい、また唇を重ねるのでした。
バレンタイン作戦 後編 完
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