◇あの日あの時 1

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  『お 前 は い つ か ら ブ タ の 言 葉 が 解 る よ う に な っ た ? そんな言語俺は教えてねぇぞ!』 「ご安心下さい、アレウス様。 彼らの目を見れば解ります」 『 嘘 付 け ! !』 「お言葉ですが、自分がアレウス様に嘘をついたことはありますか?」 『………ねぇ。 が、絶対にダメだ!』 そんな激論が繰り広げられる傍ら、シグルドの背中を見守るキュイラスは眉間にシワをよせ、瞳を伏せていた。 (今回はアレウスでも駄目かもしれない…シグルドも成長したし、ボキャブラリーも対人の話術の経験も増えたわけだし………) そう悟りを開きかけていた。 「無理も承知の上です、アレウス様。 楓さんのことを思ってみて下さい」 『あ゙? 楓のことだァ?!』 「はい。 楓さんと年が近いご友人などRIVIROには居ないはず、それもその筈です。 楓さんはアレウス様の奥様であり、交友があるのは我々上層部のみ……現に楓さんは我々に対して謙虚に接して下さっていますよね、敬語を使っていらっしゃるのが良い証拠です」 『ま、まぁ…そうだよな』 (シグルドってば、楓ちゃんを引っ張り出してきたか。 あの絶妙ととれる間の取り方と言い、その場に応じた"最良の材料"を判断し、話題に引き上げるスキル…誰かにソックリ……)  
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