星空観察

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私たち四人は、部活帰りに近くの河原の土手でいつも通り横になって話していた。 そして、ひとりの男がパッと立ち上がっていった。 「なぁ、今夜星見に行かね?」 一番バカな将吾がいった。 私たち三人は「将吾もたまには良いこと言うんだね。」と笑う。 とそれに将吾は「たまにはって何だよ!俺が言っちゃだめだったのかよ!」と怒る。 みんなは私を気遣ってくれている。部活でミスをした私。正直落ち込んでいた。 4人は明かりのない私たちの特別な丘に続く道をバカみたいにハシャいで歩いた。 私は抱え込んだ孤独や不安に押しつぶされないように笑う。 4人は丘の上にいた。 丘の近くには何もない。 そんな真っ暗な世界から私たちは空を見上げた。 空はこの世界とは逆に明るかった。 今にも星が降りそうだった。 「まぁ、寝っ転がってみようぜ。疲れたよ。」 ともう一人の男がいう。この人は総司。顔もよくて、頭もいい。 将吾とは真逆だ。 私は自然と総司を見ていた。 いつからだろう。 総司を追いかける私がいた。 「乃愛?どうしたの?」 と私に総司がきく。 「な…なんでもないよ!」 と総司から離れて寝っ転がった。 総司…お願い…驚かないで聞いて…私はアナタが好きです。 「あれがデネブ、アルタイル、ベガ。夏の大三角だよ。」 て君が指差す先は夏の大三角。私は、たった今言われたのを覚えて空をみた。 一つ煌々とひかる星。織り姫様だ。だが、彦星が見つからない。 これじゃ織り姫様がひとりぼっちだった。 星をみて楽しげな一つとなりの君。 「どうした?」 「…彦星がみつからない。」 というと総司が指差す先。見つけた。二人そろった星は綺麗で、私は何もいえなかった。 本当はずっとどこかでわかっていた。 君は見つかったって…届かない存在なんだって。
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