for reading girl

1/1
前へ
/38ページ
次へ

for reading girl

文字が書いてる訳ではない 映像が流れる様でもない 入力しているようで 出力されているようで 刻んでいるようで 消えてしまう 芸術よりも美しく 宇宙よりも謎めいて あの日の事も忘れてしまう 出逢えたことを嬉しく思う 四季の巡りを読み解きたい 何を思い 故に何を描く 教えてほしい 心とは何? あの日の苦味と鳴り響く空 読み解きたいのは冬 それがわかればいい 冬がわかれば春が来る それが出来ればそれでいい 千年の時を経て またこの巡りを迎え 罪深きこの手は老い 罰を受け皺を刻む 人を愛したから 謎を無視し目を背け 裏切り 醜い軋み 歪み それでも笑っていたね 心配掛けたね あなたはここにいる もう行くよ 私はそこにいない 愛してくれたから 悲しみをくれたから 感謝するんだよ ありがとう あなたを読めて幸せだった ごめんなさい 私を読ませて苦しめた 足枷を外せると 自由を差し上げると 昔 嘘をついた男が 17回目の夜に呑まれた 戻ってこない猫を 叱りつけるより よく戻ってきてくれたと 抱き締められるように… 愛を…勇気を… ほんの少しの夢と 圧倒的な暗黒 絶望的暗黒を消し去る 私の読みを八つ裂きにして 笑いもしないで 7日目の11月を 色鮮やかに染め上げた 真っ赤にしかし 楽にしてくれたんだ ありがとう これで苦しまなくて済む ありがとう もう一人で生きていける
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加