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パパのパソコン(Windows72')を起動させた。研はねらーである。そのことは家族の誰も知らない。ニュー速でスレッドを立てれば新しい情報が入るかだろう。
〈※起動まで10分もかかった〉
「スレタイは『一度見逃した放火魔が消えたW』がいいや」
そしてトマトジュースを飲みながら待った。付いたレスは
〈聞いたことのない名前だ〉
〈何で放置するんだ?〉
〈はいはいジュラル〉
〈魔王じゃね〉
〈もしかして研〉
〈ジュラル聖人はそんなことしない!〉
だった。情報はまるでつかめず、骨折り損。
「もうこうなったら吉坂博士に協力してもらおう」
スカイロッドを呼び乗り込んだ。夕焼けは赤く染まっていた。今頃みんな何をしているんだろ…。
〈YOSHZAAほーむ〉
「一言電話を入れてくれればいいのに」
「ごめんね―」
インターフォン越しに会話した。とても立派なものでいろいろ機能が付いているらしい。家のほうを見ると予想通りいかにも金持ちの家だった。門の両脇には龍がそびえ立ち、敷地内では知らない植物が大量に生い茂っている。その中に入ると門は自動で閉まった。
「こ ん な と こ ろにテラスがあるなんて素敵ですね、博士」
「いやはや自慢するものでは無いよ。ところでお茶を飲まないか?」
「んーでもー」
「気にするな。二階にもテラスがあるんだ。じゃ、そこで待っているよ」
「ありがとうございます」
吉沢博士は階段を登った。相変わらず生足。いい加減ズボンを履いて欲しい。研は一階のソファーに座った。小型のロボットが満載だった。とても精巧に出来ているのを見ると博士は器用なことがわかる。テレビは薄っぺらくレコードでは無くCDがある。テーブルにはIPOD。本当にここだけ時間が進んでいるみたいだ。
「おーい!!!!!」
「今行きますよ。それにしても近未来的な生活をしているんですね」
螺旋階段を登りきった。銀色の不思議な形の机には紅茶が乗っている。部屋内はガラス張りになっていて植物園がよく眺められた。
「飲みなされ。あとクッキーもどうぞ」
「ありがとう。雄一君について話があるのです」
「それじゃ消えてしまったのか…」
「はい」
「君は超能力を使えるはずだ」
「―――すっかり忘れていました。普段は使わないので」
「じゃあ、今やってくれ」
「ん~。おっ。ん…」
「どうだ?」
「まったくわかりません(キリッ」
「なんということだ!!!!!!」
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