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ほどなくして白衣を来た男がやってきた。赤髪で首から野蛮民族が付けていそうなネックレスを下げていた。
「派手に穴が空いてるな。こりゃ弁償してもらわないと」
「魔王を助けて!死にそう何です!」
「この格好は一体…」
「お願いします」
「いや、でもねぇ」
「アルファガン」
医者頭に突き付けた。
「わ、わかったよ」
魔王は治療室へ連れていかれた。蘇生しているところを始終見ることは出来なかった。一時間経つと赤いランプが消えた。真っ先にドアの前に立った。
「どうでしたか?」
「失敗だったよ」
室内のベッドには魔王がいて、顔には白い布がかけられていた。体を揺すったがぴくりともしない。研は椅子に座りうなだれた。ふいに風が起きた。ドアは閉まったままなのに。
「私は生きておるよ」
「!?」
「医者に事情を話すのは面倒だったのだよ。命を救ってくれてありがとう」
「魔王…」
「見返りに話なら何でも聞こう。その前に病院を出るとするか」
入り口を出るのは看護婦を気にしなければ問題がなかった。病人ではあるし体に悪いことは出来ない。だから色々考えたすえ、健康ランドへ連れていった。湯に浸かると今まで起こったことが嘘のようだった。
「雄一少年を誘拐したのはジュラルでしょうか」
「放火の一連のことは部下から聞き知っておる。しかし仲間にしたり使ったりしろとは命令しとらん」
「関係無いと…?」
「そうだ。それにしてもお前の話は他人事ではすまされんような気がした。だからこちらとて協力すりゅ」
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