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★
そう、嫌じゃないんだよ。
むしろ、嬉しいんだ。
胸が、苦しくなるくらい。
★
教室に戻る前に、
私は校内にある自販機に向かった。
何を飲もうか考えていたら、
きーちゃんとクロが自販機の前にいた。
「夜!」
私が声を掛けるより早くきーちゃんが気付いて、
私に近付いてきた。
う、すごい笑顔…!
また心臓が…。
何これ、私、病気?
「どうしたの、きーちゃん?
学校は全部回れた?」
私が彼女に訊くと、彼女は苦笑いをして、
「行くとこ行くとこ、誰かに捕まってね。
まだ四分の一も回れていないよ。
ただでさえだだっ広い敷地なのに」
クロが変わりに溜め息を吐いて答えた。
まぁ、それも想像つくなぁ。
すごく目立つもん、きーちゃんは。
「なんか色んな人にアドレスとか聞かれたよー」
きーちゃんはうあー、と頭を抱えながら私の回りをウロウロしだした。
何このコ可愛い。
「ことごとく断っていたけどね」
クロが補足するように言った。
「だって、クラスメートになるわけでもなんでもないし、これから友達になるわけでも無い人にアドレス聞かれても、怖いだけだよ?」
きーちゃんは急に立ち止まって、
私を後ろから抱きしめる。
うあー、心臓が持たない…!
言っても聞かないだろうから、
何も言えないけど。
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