15人が本棚に入れています
本棚に追加
きーちゃんを背中に抱き付かせたまま、
私はノロノロと廊下を歩く。
苺ミルクはおいしいなぁ、
とか現実逃避しても、
すごく目立ってるんだよね。
「きーちゃん、離れて…」
「やだー」
「恥ずかしいよ…」
「じゃあ、手、繋いでいい?」
「…それくらいなら…」
なんか良いように言いくるめられてる気がするけど、気のせいだって信じたい。
「…夜がチョロいのか、
輝刹が巧いのか…」
クロがボソボソ呟いた声は聞かないフリ。
チョロい言うな私もそんな気がしてる。
私はきーちゃんと手を繋いで、
無愛想ににむくれながら苺ミルクを啜る。
手、大きいのに繊細だなぁ。
「ふふっ」
きーちゃんが唐突に笑い出した。
「…何?」
きっとまた変なことを言うんだろうなぁと不機嫌も隠さずに私は聞く。
「ごめんね?
実は嬉しくて嬉しくてしょうがないんだ。
もう会えないと思ってたのに、
夜やクロに会えて。
もう、今にも走り出して、
私はこんなに幸せだよって言い触らしたいくらいに」
そう言って私の手を愛おしそうに両腕に抱いた。
ぐぁ…、今のはやられた…。
「…破壊力が凄いな。
…そう言えば君は、
私にも抱き付いてきたな?」
クロの顔が赤くなっている。
けっこう恥ずかしがり屋で赤面症だよね、クロは。
ん、胸がモヤっとしたよ…?
チクチクする…。
本当に病気じゃなかろうかコレは。
最初のコメントを投稿しよう!