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  誰からだろうと思ったら、きーちゃんからだった。 何の用事だろうと電話に出る。 「も、もしもし、夜です」 う、ちょっと声が上擦った。 なんでこんなに緊張してるの私? 『あ、もしもし、輝刹です。 夜?今、大丈夫かな』 私はうん、と返事をして、 何故かベッドの上で正座をした。 心臓がヤバイ。もう絶対病気だよコレ。 『いや、用事は無いんだけど、 ちょっと声が聞きたくて…。 迷惑だったかな?』 なんだろ、なんか嬉しい。 胸がキュンとするよ? 「大丈夫だよ? あと寝るだけだったから」 私が答えると、 『よかったぁ、ちょっと不安だったんだ』 ときーちゃんは安堵の声を上げた。 くそー可愛いなこの人。 『無理言ってこっちに帰ってきたのはいいけど、やっぱり一人暮らしって寂しいね? 覚悟してたつもりだったんだけどなぁ。 街並みも三年で様変わりしてるし。 三年前はよく遊びに行ってたけど、 あの駅前ってあんな感じだったっけ?』 きーちゃんの声に耳を傾けてた私は、 「お店の入れ替わりが激しいからねー」 とか言いながら、 なんか重要なことをスルーしてた。 「…って、一人暮らし?」 何て事ないみたいに言ったけど、 高校生なのに? 『正確には二人暮らしだけど、 もう一人は滅多に帰ってこないからね。 って、言ってなかったっけ?』 言ってないし、聞いてないよ? 『じゃあ勘違いしてるだろうけど、 私、転校してきたんじゃないよ? 一応、普通にあの高校に進学したの。 家の事情で、入学式は出れなかったし、 こっちに来るのに2ヶ月掛かったけど』 なんか凄いこと言い出したよこの人。  
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