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私は通学路を七色と話しながら歩く。
いつもと同じ道を、
昨日の課題をやってきたかだとか、
あの俳優とかアイドルがステキだとか、
クラスの男子で誰が格好いいだとか、
そんな些細なことで笑いあって。
なんとなく、いつまでも続けばいいなぁと思いながら。
★
学校に着いて、友達に挨拶をする。
私は人見知りだから、入学して数ヶ月経った今でも、クラスメートと話すのは緊張するんだよね。
高校に上がって、七色とも別のクラスになっちゃったし、すごく心細いよ。
中学の頃の友達は七色の他にもう一人いるけど、まだ教室にはいないみたいだった。
珍しいなぁ、と思いつつ、
うー、人見知り治したいなぁ、
机に座って鞄とか片付けながら、
一人で唸っていたら、
「何、朝から難しい顔してるんだよ?」
と同じクラスの男子が話し掛けてきた。
あちゃー、見られちゃってた。
「あ、結城君、おはよー。
いやー、人見知りを治したいなぁって」
私は素直に思ったことを話して、
苦笑いをした。
「入学したばっかりの時は、
教室に入ってきても、
いつもビクビクしてたもんな」
と結城君が意地悪く笑うから、
私は唇を尖らせて睨む。
「そんな顔すんなよー。
でも、今じゃ皆に挨拶も出来るし、
大丈夫だよ、星見月ならさ。
星見月のペースで皆と仲良くなれば」
と言ってさっきとはまったく違う、
凄い優しい笑顔で結城君は言った。
うわー、さすがイケメン。
笑顔がステキだなぁ。
皆にも優しいし、
人気があるのもわかるなぁ。
とか私が一人で感心してたら、
「ゆー、何してるのよー?
朝から夜を口説いてるのかしら?」
結城君の背中を叩きながら、
香実が顔を出した。
後ろには二人の様子を見て、
あはは、と楽しそうに笑う葉継がいる。
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