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鋭角的なラインで構成された鎧の中で唯一人の形を残した手のパーツが、その表面に幾何学的な光の線を走らせた。
次の瞬間には右手に握られていた異形の刀剣が薄紫がかった光の粒子となり、鎧に吸い込まれるように消えていく。
鎧を着た人物は剣が消え両手が空になると、うずくまったまま半身になってその一部始終を見ていた少年を抱きかかえ何の予備動作も無く、一息に空へ舞い上がった。
立ち上る炎の柱を見下ろす高さまで上昇すると戦闘機もかくやという速度で飛行し、燃え盛る町から程なく離れた小高い丘に軟着陸する。
炎に取り囲まれた中では鎧の色は判然としなかったが、黒と銀の金属色でカラーリングされていた。しかし触れた触感は金属のそれではなく、炭素材特有の細やかなざらつきだった。
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