間章と間食って似てる気がする

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問い返された部下は一瞬唇を噛むようにした後、絞り出すような声で呟き始める。 「我々が回収するのは、あの怪物の…………しかも親玉の一部ですよ?今まで地上部隊が幾度となくチャレンジして、その度に多くの犠牲を払って………それでもまだ一度たりとも成功例がない、そんな作戦をしかも地上より勝手の利かない海中でなんて上層部は俺達を殺したいとしか思えませんよ…」 やはり、か。そう心で一人ごち、言葉を返す。 「…………そんなことか。それならミーティングでも言われただろう。相模湾沖の奴らは落着から今まで全く動いておらず、特有の生体振動パターンも検出されていない。それに万が一襲撃されそうになっても新型の認識阻害弾を使えば、安全圏までの時間は稼げるのだから、問題なく逃げ切れるさ」 この台詞は、部下を安心させる為のものなのか、それとも……………。 そこで、今まで沈黙していた操艦担当の隊員が恐る恐るといった様子で口を開いた。 「しかしですよ、隊長。それこそ奴らの罠かも知れません…………。海底にいるのがデコイで、本体は我々が分からないような場所に隠れて、人間が来るのを狙っているのかも………………」 「それこそ理由がないだろう。それに奴らは何らかの物質を取り込み、それの形状を模倣すると同時に、それが生物、あるいはデータを持った機械であるなら、そこから学習する。よもや忘れた訳ではないだろう?」 言い聞かせるように話す彼に部下二人は揃って首肯する。 「それは知っていますが……それが今回の事とどのような関係が…………?」 「確かに奴らは、取り込み、学習を繰り返して進化しますけど…………それは個体ごとであり、形状の共有はしないらしい…………とは書類で読みましたが…………………ああ!そういうことですか……!」 レーダー手の隊員が得心の声を上げ、それに隊長が応えた。 「お前の言いたいことはこうだな?“奴らは個体ごとの変成を行う。ならば海底から動かず、なおかつ今まで人が近付いていないのなら奴らはただの金属塊。よしんば、魚やらクジラを取り込んでいたとしても機動力や防御力の面でもこちらがやられる心配は皆無だ”と」 彼自身安心したような微笑を頬に浮かべながら、部下の顔を見る。 「そのとおりだろう。それに…………………」 「それに……………なんです?」
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