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思わずまたため息をつく。
このアイスティーを飲み干してはたして何になるのだろうか?
今まで起こった出来事をこの液体で全部流すことができるのだろうか?
「何故あんな事になったんだ…?」
山崎が私が考え事をしているのに気づきニヤニヤしていた表情を180度変え神妙な表情になる。
「あの事件は一体何があったんですかねぇ……」
山崎はコップの水を飲み干し私に話しかける。
「ふぅ…。あの少女は俺たちに何を伝えたかったのですか松田さん?」
あの少女と聞き、さらに気持ちが落ち込む。
「分からない。ただ言えることはどうしてあんなに悲惨な事件が起こってしまったかだ」
さらに会話を続ける。
「この事件の被疑者は不明。しかも少女の関係者は4人くらいか、今回の事件の関係者はすでに3人は死亡していて、1人は行方不明というわけだ。」
「……」
山崎が顔をうつぶせて体を震わせているのに私は気づく。
そして突然山崎が周りなどお構いなしに大声で私に話てくる。
「悔しいですよ!! こんなんじゃ刑事失格じゃないですか! くそっ!! 畜生ッ!」
山崎は机を両手を握りこぶしにして叩きつけた。
机にあった飲み物などが散乱してしまう。
「落ち着け山崎ッ! ここは店だぞ! 周りの客に迷惑じゃないかっ!」
「クッ……!!」
山崎の態度からあきらかに行き場のない怒りと悔しさがうかがえる。
私は周囲を見渡した。
客の視線が私と山崎に注いでるのがわかる。
「山崎、場所が悪い。続きは車の中だ。わかったか?」
「わかりました松田さん…。すみませんでした……」
山崎が客に謝罪をして席から離れレジに向かう。
『何あの人? 怖いわねぇ……』 『あらやだねぇ最近の若い人は、マナーも知らないのかしらおほほほ』
そんなうっとしい罵声を聞いてしまい思わず私は大きな咳払いをする。
もちろん客は委縮して元に戻った。
私は遅れて山崎がいるレジに向かう。
マスターらしき口ひげをはやしたダンディーな男性が愛想よく笑顔でレジにいた。
私は支払いを済ませて、マスターに謝礼をする。
マスターが訳を聞いてきたので、仕方がなく警察手帳をみせお詫びに席のかたずけをしようとしたが、マスターが慌てて私を引き留める。
「そんなわざわざしなくていいんですよ刑事さん。私がやりますからお仕事に専念してくださいな」
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